「心を動かす、境界のデザイン。」
カフェは、コーヒーや菓子を楽しみながら、ひと息つく場所。ピラティスは、身体を動かし、自分自身と向き合う場所。
一見異なる二つの空間だが、どちらも自分のための時間を過ごすという共通点がある。
本計画では、ピラティスの利用者も必ずカフェを通ってスタジオへ向かう動線とした。レッスンの前後にカフェで過ごすことも想定し、二つの異なる体験が自然につながる空間を目指した。
一方、くつろぐ時間から身体に集中する時間へと移るには、気持ちの切り替えが必要になる。そこで、両者のあいだに中間的な空間を設け、移動する過程そのものをデザインした。
その象徴となるのが、連続するアーチである。
アーチ状の開口と壁、同じ輪郭を持つミラーを重ねることで、視線を奥へと導き、空間に連続性と奥行きを生み出した。
アーチをひとつくぐるたびに、次の空間への期待感が高まり、日常の意識から少しずつ離れていく。そして、スタジオへと進むにつれ、自然と自分の身体に意識が向かい、ピラティスに臨む心構えが整っていく。
鳥居をくぐることで気持ちが切り替わるように、アーチを単なる開口ではなく、心理的な境界として捉えた。
柔らかな間接照明や、空間ごとに変化する床材の色と質感も、その体験を支える要素としている。
対照的に、カフェでは席数をあえて詰め込まず、ゆとりのある空間を確保した。角を丸めたタイルカウンターを中心に、余白を残すことで、思い思いにくつろげる場所をつくった。
移動することで気持ちを整える空間と、留まることで気持ちを整える空間。
その二つをつなぐ境界に、新しい体験を生み出すことを試みた。
PROJECT INFORMATION
CLIENT:Yuni株式会社
PROJECT:a.s.coffee / SOL Pilates Studio
LOCATION:神奈川県厚木市
YEAR:2026